レーザー治療(歯周病)
最近、歯科の世界でも「レーザー治療」という言葉をよく耳にするようになりましたよね。でも、「レーザーって光で焼くの?」「なんだか怖そう……」って、ちょっと抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、当院で採用している半導体レーザーは、単に「切る」ための道具ではなく、皆さんが本来持っている「治る力」を最大限に引き出すための、体にとても優しい治療法なんですよ。
なぜレーザーが歯周病や根っこの治療に効果的なのか、その仕組みを分かりやすくお話ししますね。
1. 体の中の「修理屋さん」を呼び起こすスイッチ
まず、レーザー治療の最も面白いところは、細胞レベルで体に働きかける点なんです。
私たちの体の中には、マクロファージという免疫細胞がいます。これには2つのモードがあるってわかります?
M1(戦闘モード):バイ菌と戦って炎症を引き起こす
M2(修復モード):炎症を抑えて、傷ついた組織を直す「修理屋さん」
歯周病などで歯茎が腫れている時は、このM1(戦闘モード)が過剰になって、自分自身の組織まで傷つけてしまっている状態なんです。
で、ここでレーザーの出番です。 特定の波長の光を当てることで、細胞内のミトコンドリアを刺激し、エネルギー産生を活性化させます。すると、細胞のモードがM1からM2へと切り替わり、「戦う」段階から「修理して再生する」段階へと、体が自ら動き出すのを助けてくれるんですよ。
イメージ湧きますか? レーザーは、体の中にある「再生スイッチ」を優しく押してあげる役割なんです。
2. 細菌を逃さない「4つの攻撃機序」
もちろん、スイッチを押すだけでなく、病気の原因となる細菌を直接やっつける力もすごいんです。特に、歯周病の“帝王”と呼ばれる「P. ジンジバリス菌」などの悪玉菌に対しては、非常に効果的です。
半導体レーザーは、主に4つの方法で細菌にダメージを与えます:
熱で固める(熱変性):細菌のタンパク質を瞬時に加熱して凝固させます。
物理的に爆破する(微小爆発):細菌の中の水分を沸騰させて、内側からパンッと破裂させます。
光で狙い撃ち(殺菌的光作用):歯周病菌が持つ特定の色素にだけ反応して、正常な細胞を傷つけずに細菌だけを叩きます。
バリアを壊す(細胞膜障害):細菌の守りの要である「膜」に穴を開けて、自己修復できないようにします。
これだけ徹底的に、多方面からアプローチするんです。普通の薬やうがい薬では届かない「バイオフィルム」という細菌の要塞も、レーザーなら物理的に破壊して一掃できるんですよ。
3. なぜ「痛くない・治りが早い」のか?
「レーザーで焼くなら、やっぱり痛いんじゃないの?」って思いますよね。
実は、半導体レーザーは神経の興奮を抑える効果もあるので、処置後の痛みを和らげてくれるんです。また、出血をピタッと止める力も強く、健康な組織へのダメージを最小限に抑えながら、毛細血管の循環を良くして治癒を早めてくれます。
当院では、具体的に以下のような場面で活用しています:
歯周病治療(SRP後など):深いポケットの中に挿入して、手探りでは取り切れない細菌を殺菌します。
根管治療(根の掃除):複雑な形をした根っこの中(洞窟のような場所)の隅々まで光を届かせて殺菌します。
口内炎の治療:痛みをすぐに引き、治りを格段に早くします。
知覚過敏:露出した象牙細管を封鎖して、しみるのを防ぎます。
まとめ:未来を見据えた「優しい投資」
歯科治療は、単に「悪いところを削って詰める」だけではありません。
レーザー治療を取り入れることは、お口の中の環境を根本からリセットし、「これ以上、悪くならないための土台作り」をすることなんです。
「削る」とか「切る」といった従来のイメージとは正反対の、「生体の力を助けて守る」治療だと思ってください。
ちょっと専門的なお話もありましたけど、大丈夫ですか? もし、「自分のこの症状にも使えるの?」と気になったら、いつでも相談してくださいね。レントゲンを見ながら、あなたのお口にレーザーがどう役立つか、一緒に確認していきましょう。
